<職場の安全と従業員を守る「労働安全衛生法」【3】> withコロナ時代の労働安全衛生はどうする?

国を挙げて労働災害の減災を進めている最中に発生した新型コロナウイルスは、社会活動と経済活動を停滞させ、現在もなお、日本経済を苦しめています。新型コロナウイルスをめぐる感染症対策は、企業にも求められていることであり、企業は労働安全衛生法に則って、顧客はもちろん、従業員の安全も守らなければなりません。withコロナ時代において、職場の安全はどのように守ったら良いのでしょうか?衛生委員会の開催方法や、職場での感染症対策について見てみましょう。

 

新型コロナウイルスに対応するのは「労働安全衛生」ではなく「感染症法」

労働安全衛生法では、伝染病の疾病について以下のような取決めがあります。

【労働安全衛生法第68条病者の就業禁止の措置】
事業者は伝染病の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

【労働安全衛生法120条】
従わない場合は、50万以下の罰金刑となる。

しかし、2020年2月1日、新型コロナウイルスが政府によって「指定感染症」と定められたことによって、従業員が新型コロナウイルスに感染していると確認された場合には、「都道府県知事が、新型コロナウイルス感染症に感染した従業員に対して就業制限や入院の勧告などを行う」とされています。従って、感染症法によって就業制限を行う場合は、労働安全衛生法第68条ではなく、感染症法に則って対応することになります。

【参考】
e-Gov電子政府の総合窓口
>>>労働安全衛生法

>>>感染症法

 

コロナ禍において「衛生委員会」は開催するのか?

コロナ禍においては「密閉」「密接」「密集」の3密を避けるべく、会議や打ち合わせの開催が憚れる環境にあります。また、多く企業がテレワークを導入している関係で、会議はリモートで実施している傾向もあります。そんな中、安全衛生管理において月1回開催しなければならない衛生員会の開催について、厚生労働省のHPでは以下のような対応をすることが推奨されています。

・新型コロナウイルス感染症拡大防止のためには、衛生委員会は弾力的な運用を可能とする
・テレビ電話などを使用してして、リモートでの衛生委員会実施でも問題はない
・衛生委員会実施に関しては新型コロナウイルス感染症拡大防止を議題とすることが望ましい

コロナ禍という、常に健康不安が付きまとう社会情勢だからこそ、衛生員会のような機関は、その機能を停止することなく、新型コロナウイルス感染症対策について話し合い、従業員の不安を払拭する役割を担うことになります。

 

職場においての新型コロナウイルス対策について

実際に職場において実施する新型コロナウイルス対策についてまとめました。

(1)感染予防対策を徹底する
まずは、徹底した感染症対策の予防が重要です。

①ソーシャルディスタンスの確保
②マスク着用
③手洗いと消毒の徹底
④換気
⑤アクリル板や防炎シートによる遮蔽
⑥複数人会食の禁止

(2)健康管理の徹底
従業員自身が健康への意識を高めるためにも、検温や、身体の異常に対するチェックなどを毎日実施し、徹底します。また、体調不良の従業員を休ませる配慮や、長時間労働を避ける働き方などの工夫が必要です。

(3)働き方を変える
テレワークの実施や、時間差通勤、取引先とのオンラインでの会議、打ち合わせなど、可能な範囲で人と接触しないための働き方を選択できる環境づくりも大切です。テレワークができない業務の場合は、(1)で記載した感染症対策を徹底するよう全社員に周知します。

 

従業員に新型コロナウイルス感染者が出た場合の対処法

従業員に新型コロナウイルス感染者が出た場合は、仕事を休ませなければなりません。従業員の休業中に、会社が賃金を支払うかどうかは以下のケースによって対応が変わります、

・就業規則等に病気による保証を定めていない限り賃金を支払う必要なし
・発熱などで症状が疑わしい場合に会社側から休業を命じる場合は休業手当を支払う必要がある

●業務中に新型コロナウイルスに感染した場合は「労災」扱いとなる
業務が原因で新型コロナウイルスに感染したと認められる場合は、労働災害として認められます。その場合、労働保険給付の対象にもなります。感染経路が不明でも、感染リスクが高いと考えられる業務の場合、潜伏期間内にどう過ごしていたか、業務との関連性があるか、など調査の上判断されます。

●コロナ差別から陽性者を守る
新型コロナウイルスに罹患したことで、陽性者が職場復帰後に差別に合うことが問題視されています。職場を離れてしまうケースや、うつ病などの心の病を発症するケースも報告されており、事態は深刻です。陽性者を差別から守るためにも、プライバシーを守るためのルール作りや、差別に関しての従業員への周知を怠らないようにしましょう。

 

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【参考サイト】
産業保健新聞
>>>産業保健新聞

2021年社会保険労務士受験サイト みんなの社労士合格塾
>>>新型コロナ感染症に絡む項目 労働安全衛生法